まさに"gem"、珠玉の一冊です。典型的な日本的組織に勤めているサラリーマン仲間に、是非お勧めしたい。HBR系の一見合理的なビジネス論を百冊読むよりも、この一冊の方が遥かに価値があります。前出のレビュー者の方が書かれている通りで、現象学などに馴染んでいる方には、比較的入りやすい内容です。一応同じWeick氏の"The Social Psychology of Organizing"を先に読んでおくと、より入りやすいでしょう。例えばかつて戸部良一氏の「失敗の本質」に深い感銘を受けた方、あるいは教科書的な戦略論やマーケティング論の不毛さに飽きてきた方、組織という現象をより豊かに理解するための強力なリソースとして推薦させていただきます。(もしこれが気に入ったら、Henry Mintzberg氏の"The Rise and Fall of Strategic Planning"あたりも、補完的な議論として楽しめると思います。)
経営学を超えた組織論の集大成
この本は、組織という現象を経済学と経営工学の理屈なしに考えたときに納得できる内容が凝縮されている。著者のKarl Weickは、組織論の世界最高権威の一人であり、経済学と合理性を否定した若手研究者の憧れの的なのだ。Academy of Management(世界最大級の経営学会)で彼のシンポジュームが開かれようものなら、すぐ会場が一杯になり、彼が登場すると大きな拍手によって迎えられる。この本の内容は、経済学系の経営組織論とは180度逆の視点から構成されている。したがって、社会学(エスノメソドロジー)、コミュニケーション、文化人類学、「場」の心理学を周知している読者には大変読みやすく、逆に、経済学もしくは経済学的経営学、経営工学的に組織を発想する読者にはほとんど理解できない内容である。したがって、日本的組織の非合理性を理解する上で大変重要な本であり、我々日本人には大変馴染める内容なのだ。この本の翻訳が出版されているが、もともと日本語に翻訳不可能な言語・発想が網羅されているため、原書で読むことを強く推薦す!る。